「君の文章、長いうえに、よくわからないなぁ」
文章を書いていて、読む人に気をつかいすぎて「何を言いたいのかわからない」ダラダラとした長い文章になったりしたことはないだろうか?
今回の本は、短くても相手のこころに届く文章のコツを教えてくれる本だ。
この記事の目次
本日の読書「博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ」ひきたよしあき
「博報堂スピーチライターが教える 短くても伝わる文章のコツ」 ひきたよしあき(著)
言いたいことから逃げると、文章は長くなる
- 言いたいことから逃げ、要点をぼかすと、文章は長くなるのです。
- ビジネス文章で大切なのは、相手にストレスを与えずに「どう動くべきか」という要点を伝えること。自分が不遜に見えるか、見えないかは二の次です。
日本人は、遠回しに言ったり、オブラートに包むような言い方をする傾向にある。
その結果、何が言いたいのかわかりにくくなり、ストレスになる。
「〜言ったら、自分がでしゃばってる」って思われるのではないかという不安から、余計な言葉をつい付けてしまう。
目的が「伝えること」を第一に文章の構成は考えたい。
読むことは、考えること
本や資料から重要なセンテンスを抜き出し、頭の中でこねくりまわすことで、本に書かれた知識を得る以上に、自分で考える力がつきます。
読むことは探すこと。そして、考えることなのです。
読書好きとしては、この言葉は「うん、うん」って頷きたくなる。
読むことは受動的な行為だと思われがちだけど、著者からメッセージを受け取ることが、本を読むことではない。
「本を読む」とは、本に書かれた言葉をつかって、自分で考えること。
例えていうなら、 「本に書かれた言葉」を釣り針につけて、「ぼくという思考」の海で釣りをするようなイメージ。
釣り針につけるエサ【言葉(フレーズ)】によって、『ぼくの思考』の中の何かが反応する。
何が釣れるのか、ぼくはいつも楽しみだ。
文章を書くためのコツ
いっきに書いて、大幅に削る。これが中身の詰まった文章を書く極意です。
その時に意識することがあります。それは意識的に「接続詞」をつけることです。
「しかし」「つまり」などの「接続詞」は、文書の方向指示器。どちらの方向に進んでいるかを示すシグナルです。
あとで読み返すとき、「接続詞」を意識して使っていれば、どこをどう曲がったのかがわかりやすくなります。
方向指示器である「接続詞」をつかながら、いっきに書いて、大幅に削る。
体裁は気にせず、頭の中にあるものを出し切って、あとで推敲しながら削っていくやり方は、実践していきたい。
❌「あまり時間がないですが、挑戦してみます」
⭕️「あまり時間がありません。でも挑戦してみます」
⭕️「あまり時間がありません。だから挑戦してみます」
⭕️「あまり時間がありません。それゆえ挑戦してみます」
文章を削る際に気をつけるべき2つのこと
文章をいっきに書いて、いっきに削るときに気にすること
①接続詞
ひとつは、「接続詞」。
推敲のときに、「しかし」もとってしまいましょう。
「山崎さんは、夜遅くまでバレーボールの連取をした。しかし、1回戦で敗退した。」
「しかし」をとると、「なんで負けたんだ?」という疑問を読者に抱かせ、次の文章を読んでみたくなります。
短くすることで、次を読みたくなる文章が生まれるのです。
これが最後まで読ませる文章にするためのコツです。
なくても通じる接続詞は極力排除しましょう。
このテクニックも具体的で興味深い。
読者に疑問を抱かせるという相手目線の考え方は大事にしたい。
②主語を省く
ふたつめは「主語を省くこと」。
日本語は主語がなくても成立する文章です。
いちいち「私が」「彼が」「それは」とつけていたら煩わしくなってしまいます。
推敲するときは、無意識のうちにつけている主語を、できるかぎりとることをおすすめします。
主語はつけた方がわかりやすいと思っていただけに、取り除いてもいいってわかったことがありがたい。
自分中心の言動→他人中心の言動
自分中心の言動から、他人中心の言動に変わったとき、あなたの文章で人は動きます。
「で、私にどんなメリットがあるんですか?」という相手の問いに、はっきりと、すっきりと答える。
それが手に入ったときの姿を、相手の頭上に絵を描くのかのようにリアルに想像させる。
自分本位の文章も、ぼくは好きだけど、
文章を書く目的が「相手に伝えるため」であるなら、「他人中心の言動」って大事。
ぼくもつい自分中心の言動になりがちだけど、一歩引いて「他人中心」を意識したい。
「ら抜き言葉」克服法
「ら抜き言葉」を克服する
命令形にしたときに「ろ」で終わる言葉は、「見られる」となります。つまり「ら抜き言葉」にしてはいけません。
「走る」→「走れ」→「走れる」
「知る」→「知れ」→「知れる」
「食べる」→「食べろ」→「食べられる」
学生時に習う人もいるようだが、ぼくは初めてこの克服法を知った。
今まで感覚で「ら抜き言葉」を判別していたので、この基準はありがたい。
わからなくなったら命令形にしてみる。
「幼稚言葉」を切り抜ける
「幼稚語」には切り抜け方がある
「うれしかったです」「おもしろかったです」→非常に幼稚な印象を受ける。
これらの言葉を使いたくなったらぐっとこらえて、より具体的に「何がうれしかったのか」「どう面白かったのか」を考えるようにしましょう。
例)「うれしかった」と書くところを「あなたの声にはほっとしました」「お心遣いに感激しました」と別の表現を考える。
ぼくは、「うれしい」「おもしろい」ってこのブログでは使うけど、いざキチンとした文章を書こうとしたときに戸惑うときがある。
幼稚さを感じさせない表現の仕方は、学んでおきたい。
自分の文章を声に出して読んでみる
声に出せば、句読点をより意識するようになる。
声に出すことで、自分の文章を客観的にとらえることができるようになる。
実際に自分の書いた文章を声に出して読んでみると、頭の中で描いていたリズムと実際の口に出して読むリズムが違った。
声に出して、自分の文章を読むと確かに違う視点でみることができる。
大きな発見だ。
万年筆で、生き方が変わる。
各章の末にコラムがのっているのですが、そのうちのひとつに「万年筆」について書かれていた。
ぼくはこの「万年筆のコラム」を読んで、いっきにこの著者のことが好きになり、その著者が書いたこの文章の本に惹かれてしまった。
著者は小学3年生のときに、高額な万年筆を手に入れてそこから、万年筆に惹かれた。
寝る時にベッドの横に万年筆が置いておかないと不安になってしまうほどに万年筆を愛しているようだ。
「万年筆で生き方が変わります」
って文章を締めくくるくらい、言い切っている。
ぼくも万年筆をつかって、手帳に書いていた時期があった。あの時は楽しくていつも文字を書きたくなっていた。インクがなくなって、そのままになってしまったけど……。
あの感覚を思い出した。
著者は本当に文章を書くことが好きで、言葉を大切にされているんだなと感じることができるコラムだった。
書評まとめ「博報堂スピーチライターが教える伝わる文章力のコツ」
「文章を書く」って、自分の思考を整理することでもある。
この本の「万年筆」のコラムはぜひ読んでもらいたい。
「万年筆で生き方が変わる」って、そのへんのボールペンで書くことと何が違うのかって、ボールペンよりも愛着のある万年筆で書く方が、こころと紡ぎ出す言葉をつなげやすいのだと思う。
万年筆で書くと、こころと文字がストレートにつながるイメージ。
この感覚って、文章の書き方も同じだなと思った。
変なところに接続詞が入っていると、読んでいて違和感を感じて、文章にこころが入らなかったりする。
リズムが悪い文章を読んでいると、イマイチ情景が頭に浮かんでこなかったりする。
素直に読み手にこころを届けるには、テクニックも必要だと思った。
この本は、文章を通して、ことばの大切さを教えてくれる本だ。
著者のひきたよしあきです。
書評、感激いたしました。深く読んでいただき、ありがとうございました。
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ブログを読んでいただきありがとうございます。
文章の書き方の勉強になりましたが、それ以上にコラムや「おわりに」にこころが惹かれました。
ひきたさんのその他の著書も読んでいきたいと思います。
「言葉の修行」をこれからもワクワクしながら行うことができます。
「言葉を好きになる」本をつくっていただき、ありがとうございました。