少し前になるのだが、アメトーーク!「読者芸人2017」で、カズレーサーさんが『15年ぶりに泣いたい本』として紹介された本が、「僕と妻の1778話」。
番組の中で、この本の最終回を読んだ光浦さんが、読んで即泣いたらしい。
【大反響】カズレーザーが“15年ぶりに泣いた”1冊が緊急重版https://t.co/XrNOZVqmLf
紹介された本は『妻に捧げた1778話』。著者が余命1年の妻のために執筆したショートショートとエッセイが収録されている。 pic.twitter.com/7f2k8fkPFl
— ライブドアニュース (@livedoornews)
今頃、たまたまこの記事を見つけて、気になったので早速読んでみた。
本日の読書「僕と妻の1778話」眉村卓(著)
著書:眉村卓さん
1934年生。日本のSF作家。代表作は「司政官シリーズ」、1979年泉鏡花文学賞、1996年に星雲賞日本長編部門を受賞。
「僕と妻の1778話」の本の内容
余命一年と宣告された妻の(2002年に逝去)ために、作家の夫が、毎日短編小説を書き、妻がなくなる「最終回」までの1778話。
妻の気持ちが少しでも明るくなればと、書き続けた。
この本には、1778話の中から52話が掲載されており、その話の終わりごとに、執筆時のエピドードが書かれている。
そのエピソードに夫婦二人の生きた証が記されている。
本の感想
著者が奥さんとの間で、小説を書いて読むという行為が、恒例行事になり、そこに二人だけの世界ができていた。
二人の時間を想像することで、ぼくのこころがあたたかくなる。
その空気感が、各短編小説の解説部分にあらわれている。
ぼくは普段小説をあまり読まないので、1778話のなかの52話の短編小説が掲載されているが、ぼくは文学的な良さを分析するだけのモノは持ち合わせていない。
ぼくが、この本を読んで響いたのは、その短編小説のあとに書いてある解説部分だ。
どういう経緯でその小説をつくったのか、その小説を読んだ奥さんの感想やエピソード、そこにぼくはヒトを感じた。
ぼくは、人のいのちに関わる本を読むことが好きだ。
「死」を意識できるから。
普段のあわただしい生活の中で、ただ時間だけが過ぎてしまっている。
いまだに、ぼくはそんな命の使い方をしてしまっていることがある。
「いのち」に関する本を読んだ時、
当たり前が、当たり前でないことに気がつくことができる。
たとえ、その本を読んだ一瞬なのかもしれないけど、
「死」を意識することができ、今のこの瞬間も「あたりまえ」でないことを意識できる。
いま、命があり、いま、この本を読むができるくらいの、健康と時間と余裕があることに「ありがたく」感じることができる。
毎日やってくる「時間」をありがたく感じることができる。
「ありがたい」って感じることができる、それがしあわせだ。
ぼくは、「死」を意識することで、「しあわせ」を感じることができる。
誰かが残してくれたいのちの軌跡を、本を通して歩ませていただけることに、今「生きていること」を実感させてもらえることができる。
今のこの瞬間が尊いものであると感じることができる。
この本を読みながら、眉村さんのいのちとの付き合い方に並走しながら、ぼくもぼくのいのちを感じることができた。
ビジネス書やハウツー本を読むことが多いけど、読書の醍醐味は、まさにこういう本を読みながら「体験」できることだ。
この本びAmazonの評価をみればわかるけど、賛否両論別れている。
受け身で、この本を読むとあまり感じることがないのかもしれない。
しかし、この本をつかって、じぶんと向き合おうとした時に、この本は輝くのだ。
こういう読書が、ぼくは好きだ。
追記:映画化
草彅 剛主演で映画化されているので、当時でも話題になっていたんだ。
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