「アレルギー予防の”常識”は間違いだらけだった!」この言葉に惹かれて、本を購入!!
アレルギーに関しての知識がなかったので、この本はめちゃくちゃ勉強になった。
初心者にわかりやすく、読みやすく書かれた本だ。
この記事の目次
本日の読書「アレルギー医療革命」NHKスペシャル取材班
発売日: 2016/3/25
アレルギーは先進国の流行病
- 1950年代にはアレルギー患者は非常に少なかった。その後、先進国では年を追うごとに激増し、2000年の時点では、なんと3人に1人が何らかのアレルギーを持つに至った。
- 日本国民の4人に1人が花粉症
アレルギーの病気が70年前は少なかったことと、患者の増え方には、びっくりだ!
先進国にはアレルギー患者が多いことは、アレルギーの原因がいろいろと想像できる。
血液中に含まれるIgEという物質。
本来は体に害のないはずの花粉や食べ物を免疫細胞が誤って攻撃してしまうのがアレルギーだ。
この時、免疫細胞のひとつ、B細胞が作るのが攻撃物質、IgEだ。花粉に対しては花粉専用のIgE、卵に対しては卵専用のIgEを作る。このIgEがある一定のレベルを超えると、アレルギー症状が現れる。
つまり、体内にあるIgEの種類と量を調べれば、その人が何のアレルギーを持っているのかがはっきりとわかる。
IgEが攻撃部隊なので、その攻撃部隊が花粉専用部隊なのか、卵専用部隊なのか、その攻撃部隊が、何に対しての攻撃部隊なのかがわかれば、アレルギーがわかる。
免疫の常識を大きく変えた「Tレグ」
Tレグという免疫細胞は、ノーベル賞も期待される世紀の発見!!
こいつがスゴイ!!この本の主役!!
Tレグは従来の免疫研究の常識を覆す存在であり、これまで治療が困難と言われた様々な免疫性疾患の治療を可能にするものとして注目を浴びている。免疫学の世界では救世主のような存在として受け止められている。
T細胞(Tレグ細胞)は、1995年に、京都大学の坂口志文博士が発見した、炎症を抑制する免疫細胞。
この大発見は、1995年なのでいかにアレルギーの研究が、まだ新しいことなのかがよくわかる。
T細胞=免疫システムの中で、攻撃司令官の役割を果たしています。体内に悪いものが入ってくると、それを攻撃しろと指令を出す細胞なんです。
免疫は自己と他者を見分け、攻撃をするけれども、その見分け方は結構、アバウトなもので、しばしば自分の体を攻撃してしまったり、攻撃する必要のない異物まで攻撃してしまう。その誤りを正すために、攻撃をとめるTレグがいる。
従来、免疫の司令官は攻撃を担うT細胞ただひとりと考えられてきた。その陰にもうひとりの司令官がいた。攻撃を担うT細胞と攻撃を止めるTレグ、この2つの司令官の均衡、バランスによって、私たちの免疫システムは正しく保たれ、私たちは健康でいられるのだ。
今までは、攻撃の指令をだすT細胞しかないって思われていたのが、
実は、その攻撃指令を止めるTレグがいることが発見されたのだ。
Tレグが臓器移植やガン治療にも貢献
Tレグは、免疫に関わる様々な疾患の治療を大きく変えつつある。
Tレグを増やすことで、本来の免疫力は維持しながら、自己免疫疾患を引き起こしているT細胞だけを抑え込み、病気を根本から治そうという治療ができる。
Tレグは、アレルギー治療だけではなく、他にも様々な治療に役に立ち、影響を与えている。
Tレグはどれだけスゴイんだ!!
ガンの治療は、興味がある。
Tレグによって、ガンが完治できる病気に変わることを願う。
アレルギーを発症しない人の免疫
アレルギーを発症しない人の免疫はどうなっているのか?
2つの可能性がある。
花粉が入ってきても、T細胞がそれを体に害のないものとちゃんと判断し、攻撃指令を出さない場合。これならそもそもアレルギーは発症しないし、何の問題もない。
そしてもうひとつが、T細胞が花粉を攻撃する指令を出してしまっているが、その攻撃が起こらない場合だ。それこそが、Tレグが活躍している場合。
私たちの体内には花粉や食べ物などを攻撃するT細胞は常に存在しているが、その攻撃を抑えるTレグが存在しているおかげで、アレルギーにならない。
ポイントは、Tレグの存在だ。
花粉や食品などが体内に入ってきた時に、T細胞が誤った攻撃をしかけても、ナイーブTレグからすぐさま花粉や食品などの異物に個別に対応するTレグが作られ、その攻撃を止める。結果として、アレルギーを発症しない。
生まれてからすぐから3歳までが、細菌接触の効果で多くのナイーブTレグが作られる可能性がある
細菌接触の多い環境で生活していたり、細菌が多く含まれる生乳を飲んでいた妊婦から生まれた子どもは、Tレグが多く、アレルギーを発症しにくい。
細菌と接触することが、アレルギーになりにくいことがわかる。
アレルギー予防の”常識”は間違いだらけだった!
アレルギーの「常識」がどんどん変化していくことが、アメリカ小児科学会の指針をみるとよくわかる。
2000年に出された指針では、アレルギー食品を避けることをすすめている。
しかし、
指針にのっているにもかかわらず、その根拠となる研究や調査はほぼ存在しない。
そして、2008年の指針では、180度転換する。
8年前にはアレルギー食品を避けることをすすめていたのに、次は「推奨しない」に変わった。
この僅か8年間で方針が大きく変わったことで、医師や患者も大きな不安と戸惑いがあり、情報が錯乱して、いまだに2000年の方針のまま治療をおこなっているところもあるという。
妊娠中、授乳中のお母さんは、アレルギー食品を避ける必要はない。自身には食物アレルギーがない限り、好き嫌いなくできるだけ色々なものを幅広く食べた方が良い。
まとめると、
2000年→「アレルギー食品を避けること」
2008年→「アレルギー食品を避けることを推奨しない」
2015年→「アレルギー食品を食べることで予防できる」
と、変化している。
アレルゲンが皮膚から入るのか腸から入るのかで異なる影響
本来は異物が入り込んではいけないはずの皮膚からアレルゲンが入ると、免疫細胞は臨戦態勢になり、その異物を攻撃対象と見なしやすい。免疫はその異物を攻撃対象として記憶し、その結果アレルギーを発症してしまう。
皮膚の傷口等からアレルギー物質が入ると、攻撃対象として記憶され、攻撃されてしまい、アレルギーになってしまう。
皮膚に塗るクリームや、食べカスなどが皮膚からの侵入となる。
アレルゲンが腸から入るか、皮膚か、それはアレルギーになるか、ならないかを決定づけるレースのようなものです。先にその異物を腸から吸収できれば、攻撃を止めるTレグが作られ、体は異物を受け入れる。
でももしその異物が皮膚から先に入ってしまえば、私たちの免疫は異物を攻撃対象として記憶する。そして、アレルギーになってしまう。つまり、腸からいち早く入るようにする。それこそがアレルギーの予防を可能にする大きなカギだと考えれます。
食べることは、体外の異物を体に入れること。
つまり、腸に入ってくるモノはすべて異物である。
書評のまとめ「アレルギー医療革命」
食物アレルギーは、確かに赤ちゃんの時に「食べた方がいい」と「ある程度大きくなるまで食べない方がいい」と、二つとも話を聞いたことがあるので、どっちが良いのだろうと疑問だった。
この本を読んで、スッキリした!
アレルギー治療の研究は、この数十年の間に目まぐるしく発展していて、アレルギー治療の「常識」は年々アップデートされていっている。
アレルギーに関しては、誰しもがいつ起こってもおかしくないことなので、他人ごとではない。
正しい知識があれば、アレルギーをおさえることや防げることもできる。
この本はアレルギーの正しい情報を教えてくれるので、たくさんの方に読んでもらいたい。
この本は2016年に出版された本なので、その後も新たな発見もなされているのかもしれないので、続編も期待したい。