【書評①】佐渡島庸平「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」→コミュニティに「自由・安心」を求める

「コミュニティ」に対して、深く今まで考えてこなかった。

 

この本を読んで、最初に思ったことだ。

 

インターネットによって、コミュニティのあり方も変化して、この本から学びがあまりにも多かった為に、記事を二つにわけて感想を書いてみたい。それくらい素晴らしい本だった。

【書評記事②】→「コミュニティについて学べる本」

本日の読書「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」佐渡島庸平(著)

「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ 佐渡島庸平(著)

著者:佐渡島庸平さん

コルクの佐渡島康平さん写真

1979年生、灘高校、東京大学卒業後、講談社に入社。現在は、作家エージェント会社「コルク」を経営。

「バガボンド」「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」などの編集にたずさわる。

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【コミュニティ】「 安心と自由」どちらが重要か?

コミュニティについて考えるとき、「安心と自由」がキーワードになる。

 

安心と不安、自由と義務ではなく、安心と自由だ。人間は、この二つを欲しがる。できれば、同時に。しかし、この二つは決して、同時には手に入れられなかった。

 

安心を得ようとすると、自由が失われるし、自由を得ようとすると、安心を失う。

ぼくは、さまざまなコミュニティに所属している。

しかし、ぼくは「コミュニティ」に関して、掘り下げて考えたことがなかった。

 

さまざまなコミュニティに所属しておきながら、ぼくは「コミュニティ」についてあまり知らないことに驚いた。

 

キーワードとなる「安心と自由」について考えたい。

 

自由と安全・安心はトレードオフの関係

今、僕らは、所属しているコミュニティを失いつつある。

誰も僕らの生き方について、指図する人はいない。圧倒的な自由だ。しかし、ずっと欲しがっていた自由を手にいれて、気がついたら安全・安心を失っていた。

その二つがトレードオフの関係にあることを、理解している人は少なかった。孤独の中で得る自由と引き換えに安全・安心を失った人たちは、不安の闇に突き落とされる。

これは仕事をしているとよく感じることがある。

自由にはたらきたい」って、よく言う人がいるけど、いざ「自由」な時間を与えられると、何もできない人が多い。

 

それって、ただ「自分で考える」ってことができないだけだと思っていたけど、それだけではなかった。

 

管理下にいる間は、自由ではないが「安心」である。

子どもの頃から、「安心」の状態にあるのが当たり前だったので、「安心」を意識することすらなかった。

 

いざ「自由」になった途端に押し寄せる「不安」。結局は、また自分で何かに拘束される選択をしてしまう。

 インターネットによって自由になった

社会的であるためには、人間が無理をしている行為が、山のようにある。 

僕らがすごく快適で、便利だと思っていることのほとんどは、社会をスムーズにするための仕組みに、自分たちを合わせているだけのことだ。

自分たちは、すごく不自由な社会に住んでいる。そして、それをインターネットが、自由にしはじめたのだ。 

 「考えること」を放棄していると、何が良くて何が快適かすら「じぶん」で考えない。

みんながいいって言うから、いいものだと思い込んでいたり、昔から「快適」と言われているから、それが快適だと思ってしまっている。

 

時代は急速に変化している。

 

世の中や自分自身の価値観も変化している。その最たるものがインターネットによる影響が多い。

自由によって、不安になる 

”奴隷の幸福”という言葉があるように、僕たちは型にハマり、役割を半ば強制的に与えられるほうが楽で、居心地がいい。

型にハマることを教えられてきた僕たちは、その型から解き放たれ、心のよりどころがなくなり、不安を感じている。

人は「考えること」ほど、苦しいことはない。

他人に決めてもらい、悪いことは他人のせいにして生きる生き方がラクだと無意識に思って生きてしまっている。

 

情報があふれ、人は不安になる

整理されていない情報に触れると、人は自分で情報を選択するという責任を背負う。その自由すぎる故の責任の重さは、多くの人を不安にし、不幸にする。

今は、多くの人が情報の爆発に対応できていない。どのように情報を減らすのか、それが仕組みでできていくといい。情報の一つ一つに意思決定をするのではなく、どのコミュニティに入るかだけを意思決定する。そうすると、人は情報の爆発に対応できるのではないか。

健全なコミュニティが発展することに、僕は希望を見つけているのだ。

情報過多の時代に、自分で情報は精査していくしかないと思っていただけに、コミュニティで情報を精査していく考え方は、発見だ。

 

インターネットにより個人の情報発信力があがった 

インターネットは、すべての関係をフラット化する。強者の発言も、弱者の発言も、同じ発言として扱われる。相対的に、今までメジャーとされていた人の力がさがり、マイノリティ(少数派)の力があがる。

 少し前までは、大企業しか大きな声でモノを言えなかったが、インターネットによって個人の力でも大企業にも勝てる時代になった。

 

この変化は大きい。 

インターネットがもたらす孤独

マジョリティ(多数派)が孤独を感じはじめている

インターネットは、人を幸せにしているのか?

逆に今まで力を持っていたマジョリティが、今、孤独を感じているのだ。

もうこの見出し部分から、興味津々。

 

インターネットって、新しいことや良い変化ばかりに目を向けがち。

また、個人が情報発信できるようになり、良くなった反面、マジョリティ(多数派)が「孤独」を感じているということばが、気になった。

 

 大企業の人ほどネットへの対応が遅れている

ネット以前の社会で強物とされ、メジャーな場所にいた人たちは、ネットへの対応が遅れている。

大手企業から、イノベーションの意識を社員に持たせるために講演会を依頼されることがある。そのような場所にいるほとんどの人がSNSを使いこなしていない。

アカウントを持っているだけのことがほとんどで、会社からさまざまな制限がかかっていて、何もしないのが一番安全というのだ。その会社内であれば、それが正解かもしれないが、社会全体で見るとすごくリスクのある行為だ。

 ぼくは零細企業や個人のところで働くことが多かったけど、大企業と呼ばれるところでも働いたことがある。

その中で感じたことは、大企業になると最先端の情報が入ってくる。

 

だから、自分は情報は先端のものをつかんでいると安心してしまう。

 

自分で情報を掴みにいく努力をしなくなってしまう。

むかしはそれでも、よかった。

 

孤独は自分で気づくことが難しい

肥満であれば、鏡を見れば気づくことができる。しかし、自分の周りから、安心を感じるコミュニティが消えていっていることに、本人も周りも気がつかないことはありえる。

孤独は、自分で気づくことができない可能性がある、”現代の病”なのだ。

この本に書かれていることは、潜在的に感じていることを、意識上に引き上げてくれることばかりだ

 

昔は、大家族だったり、親戚のコミニティ、ご近所のコミュニティ、会社というコミュニティが強かったので、どこかに属していることが当然だった。

 

今は、インターネットの時代。

 

24時間いつでも簡単にネットを介してつながることができる時代。孤独になりにくい環境だと思っていたが、逆に既存のコミュニティが薄まり、孤独になってしまっていることすら気付けない時代になっている。

 

何を「安全・安心」とするかは、人それぞれ違う

それぞれの人の状況や立場によって、何を安全・安心とするかは違う。

でも、すべての人が、その人なりの安全・安心を確保してから、挑戦しているのではないか?そんな風に考えるようになった。

他人の「安全・安心」も、つい自分基準でみてしまい、相手に言葉が通じないときがある。

「人によって『安全・安心』の基準が違う」という考え方を、ぼくは意識できいなかった。

 

ぼくは、人生において「挑戦」という言葉を大切にしている。

しかし、「挑戦」の前に「安全・安心」の確保に対する考えが弱かった。

 

チームで「挑戦」するときは、メンバーひとりひとりの「安全・安心」を確保してはじめて「挑戦」する土台にたてる。

感想まとめ「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」

「じぶん」のことは、知らないことが多い。

 

今回の佐渡島康平さんの本によって、ぼくは「コミュニティ」に対して意識レベルにあげて考えることができた。

 

ぼくも生まれた瞬間から「家族」というコミュニティに属し、「ご近所」「学校」「部活」「友達」「会社」「SNS」等様々なコミュニティに出たり入ったりしていた。

コミュニティをつくる側にもなっていた。

 

人間関係やチームの目的は考えることがあっても、コミュニティについて深く考えていなかった。

 

人は、「安心と自由」と求め、多くは自由からくる不安をおそれ、結局は自由を捨て、どこかの支配下に属し、安心を得ようとする。そして、「安心」のもと、「不自由さ」について不平不満を撒き散らす。

ぼくも思い当たる節があり、「じぶん」を知ることができて、おもしろい。

【書評】の後半編は、コミュニティ作りについて書きたい。

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「WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE.」佐渡島庸平(著)
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