自分なりに「良かれ」って思って行動して、裏目に出てしまったってことはないだろうか?
その原因が、この本のテーマ「アンコンシャス・バイアス(無意識の思いこみ)」だ。
「無意識」は、ぼくたちに大きな影響を与えている。
この本は、その「無意識」との向き合い方について教えてくれる本だ。
この記事の目次
本日の読書「あなたのチームがうまくいかないのは『無意識』の思いこみのせいです」
「あなたのチームがうまくいかないのは『無意識』の思いこみのせいです」守屋智敬(著)
著者:守屋智敬さんとは
共感を大切にするリーダー育成をはじめ、経営者や管理職を対象に、2万人以上のリーダー育成に携わる。研修講師。株式会社モリヤコンサルティング代表。
【アンコンシャス・バイアス】とは、無意識の思いこみ
- 無意識は、わたしたちの言動、感情、コミュニケーションなどに、知らず知らずのうちに大きな影響をおよぼしています。
- 誰もが無意識のうちに偏ったモノの見方をしている
- 日常の行動は、ほとんどが無意識によるものの連続
- 「自分のやっていることに気づいていない」というアンコンシャス・バイアスの怖さ
「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の思いこみ」「無意識のとらわれ」「無意識の偏見」などと訳さるようだ。
「無意識」なので、自分では意識ができていない、気がついていないということ。
例えば、
- 歯を磨く時に、どのように磨くかというのは考えずに、無意識に左から右にとそれぞれ磨いていると思う。
- 「梅干し」と言葉を見るだけで、すっぱく感じ唾液が出てくるのも無意識の反応。
- 「黄」と「黒」のシマシマ模様を見ると、工事もしくは阪神タイガースを想像してまう。
実に、「無意識」に行動していることが多い。
「無意識」は良くも悪くも、ぼくたちの思考・行動に影響している。
それだけ、影響しているものなのに「自分ではわからない」から、おそろしい……。
【アンコンシャス・バイアス】の正体は、脳による「自己防衛心」
ぼくがこの本で、この本で何度も振り返りたいと思った箇所が「自己防衛心」。
- アンコンシャス・バイアスの正体は、脳による「自己防衛心」
- 「自己防衛心」とは「できるだけ自分が安全と思われるところにいたい」という人が本能的にもつ心理。これ自体は、決してネガティブなものではありません。
しかし、自己防衛心が強くなると、「自分にとって都合のいい考えや事実」を守ろうとしたり、「正しいと思ってきたこと」「自分の立ち位置」「安心できる環境」を守ろうとしたりします。
具体的な例も記載されているのだが、責任を追及されそうになった瞬間「それはわたしのせいではない」、窮地に追い込まれると「わたしには関係ない」、メンバーのやり方が気にくわないと「そんなのはダメだ」「普通はそうしない」などと真っ向から否定してしまったり。
これらが、「自己防衛心」。
確かに自分ではその時は無意識だが、指摘されると「自己防衛心」がはたらいていたなと思うことがある。
何度も書いてしまうけど、無意識だからおそろしい。
自分がじっくり考えて「理性」で判断したと思っていても、実はそこに《アンコンシャス・バイアス》無意識の思いこみが影響していることがわかると、いかに「無意識」と向き合うことがたいせつかがわかる。
- 「誰もが無意識にとらわれている」ということを知るということ
自分だけではなく、また相手も無意識にとらわれている。
相手の行動・思考も、相手が気がついていない「無意識」の影響を受けてしまっている。
人と接するときに、相手にはたらいている「無意識」も考慮しようとすることで、見えなかったモノも見えてくるのではないか。
相手にはたらいている「無意識」まで考え、想像するってことは、相手のことを本当に考えることであり、それも相手を思う「おもいやり」につながる。
歩みよろうとするその姿勢が、相手との距離をグッと縮める。
うまくいかない相手ほど、実践してみたいと思う。
【アンコンシャス・バイアス】怒りは二次感情である
- アンガーマネジメントの基本は「怒りは二次感情である」という考え方です。
寂しい、悲しい、苦しい、不安といった一次感情が許容量を超えてしまうと、怒りの感情が二次感情として生まれるというメカニズムです。- 自分が「こうあるべき」「これが正しい」と信じているルールやマナーが侵害されたことへの不満が「ムッとする」感情を生み出しています。
- 怒りの衝動がわいしまったら、良い方法は、ひと呼吸おいて、自分の素直な気持ち(一次感情)を伝えることです。感情的にならず、一次感情を言葉で伝えるようとする。
アンガーマネジメントの「怒り」の考え方は、実に興味深く、納得してしまう。
お店で働いている時に、スタッフ同士がギスギスする時には、必ず誰かの「怒り」がある。
誰かが「イライラ」していて、その「イライラ」が他の人に伝染して、お店全体が「ギスギス」した空気感になる。
相手に伝わるのは、態度で示してしまっている「怒り」だけ。
本来伝えたかったことは、「イライラした」ってことではなく、「不安になった」という一次感情。
「怒りを二次感情である」と考えたときに、怒りを生み出した一次感情があるということを考えることに意味があると思った。
チームで、「怒りは二次感情」を知ると、チームのコミュニケーションが変わる。
- 組織的なアンコンシャス・バイアスがもっとも危険
→集団思考に陥らないようにするポイントは、メンバーや周囲からの反対意見や違和感を見逃さず、きちんと受け止めることです。
これは本当におそろしいこと。
この文章を読んで、「あの時は集団思考に陥ってしまっていた」と思いだすことがいくつかあった。
事業の拡大時、順調にいっている時ほど、集団思考に陥って、判断をあやまってしまう。
チームで話あっても、みんなが「良いっ!」って意見がそろうと、自分たちの中で「うまくいきそう」が「うまくいくはず」って確信に変わってしまう。
その瞬間から、無意識に「うまくいく」という目線でしかモノを見れなくなってしまい、盲目になってしまう。
【アンコンシャス・バイアス】希望がうまれることを信じる。
- 「人は人を苦しめることができる一方で、人は人をきっかけにして希望も生まれる」それも、無意識のうちに。
- 誰かとともに生きていくと、自分や相手を苦しめる何かが、知らず知らずのうちに生じてしまうことがある。その一方で、誰かとともに生きていくことで、希望も生まれる。
ぼくは、この著者の最後のあとがきに書いてある文章に、あたたかい光を感じた。
「人」と接する限り、無意識に、相手を苦しめたり、苦しめられたりすることがある。
職場や学校のトラブルの多くは、人間関係だ。
それでも、たとえ苦しいことがあったとしても、「人」によって、希望も生まれる。
ぼくも「人」と生きていく中で、苦しいことが起こるとわかっていても、その中から生まれてくる「希望」をたいせつにして、おそれずにドンドン「人」と接し、学び成長し生きていきたい。
本の最後のメッセージ
- 「これって、わたしのアンコンシャス・バイアス?」
相手がちょっと不穏な表情を見せたとき、コミュニケーションがすれ違って、平行線をたどっていると感じたとき、メンバーのやる気が損なわれている気がしたとき、そんなときこそ、この「問い」をあなた自身にむけてほしいのです。
この本で何度もでてくるフレーズ。
相手に求めるのではなく、「あなた自身にむけてほしい」と自分に矢印をむけるところが、著者の一番伝えたかったメッセージ。
相手を変えることはできない、変えることができるのは自分だけ。
お互いが相手に変化を求めるかぎり、何も変わらない。変わらないといけないのは、相手ではなく自分自身。そのように「何かあったとき」に、相手に変化を求めるのではなく、自分の受け止め方や考え方を変えようとする、その姿勢がたいせつなんだと思った。
お互いがそうすることによって、「やさしい」チームになる。
そんな「やさしい」チームを、ぼくも作りたい。
まずは、『自分』に思考の矢印をむけることをたいせつにしたい。
守屋智敬さんのその他のリーダー本もオススメ!!
守屋智敬さんは、本を2冊出版されている。
1冊目の「シンプルだけれど重要なリーダーの仕事」は、リーダー本の教科書!!
題名にあるように「シンプル」に書いてあるため、Amazonの書評を見ると「他のリーダー本と被っている」「ありふれた内容」等低い評価のものもあるが、そんな読み方をするのは実にもったいない。
「シンプル」にわかりやすく書いてあるため、理解がしやすく書いてある。
それを表面だけしか読み取らないと、「他のリーダー本と被っている」と理解してしまうのかもしれない。
この本は、本当に奥が深い。スルメのように何度も何度も噛み締め、読むべき本だ。
ぼくがこの本で一番伝えたいのは、もっと奥深いところだ。ぼくはリーダー本をこれまでたくさん読んできたが、この本は20回以上は読み込んだ。読む度に発見と気づきがある。
ことばの選び方から、表現の仕方がそのまま、人に教えたり伝えたりする時の参考となる。
リーダーについて学びたい方は、ぜひ一冊目の「シンプルだけれど重要なリーダーの仕事」を読んでいただき、二冊目の「導く力」も読んでほしい。
ぼくが、リーダー本を人にオススメするとしたら、この本はハズせない!!