「最大効率を目指す」「無駄を省く」「早くする」
何をするにしても、効率が求めらるし、求めてしまう。
頭がそのモードになってしまっている。
そんな時に、この本に出会ってしまった。
題名を見ても、なんの本かよくわからない不便な本だ。
インプレスさんより献本いただいたので、「不便益」について学ぶ。
この記事の目次
本日の読書「不便益の本」
本の題名は、
「ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか?〜不便益という発想」川上浩司著
題名を読むだけで、疲れてしまいます(笑)
この本を選んだ理由は、長すぎる題名
こんな長い題名をつける本はどういうものなのか?
「不便益」って言葉が気になった。
著者 川上浩司(京都大学デザイン学ユニット教授)
川上浩司さんは、「不便益」を研究されている先生。
不便益とは、不便にも益が多いということ。
現代社会のものさしからは「不便」と思われがちなことに、「益」を見出すのが、不便益という発想。
つまり、ぼくのように、
「この本の題名が長過ぎて、なんで覚えにくい長い題名にしたのかなぁ」
って気になり手にとってしまったことが、すでに不便益に与っていることになる。
ぼくが気になったところ(抜粋)
- 「当たり前」だと思っていることを見つめ直すこと。本当に必要かどうかを問いただす目を持つこと。「不便から生まれる益」を考えることは、日常生活における発想の転換にもつながる。
- 「ウォリーをさがせ!」は不便な絵本→不便を楽しむ絵本。人は手間をかけ、頭を使うことを楽しむ。
- 子どもの頃の「遠足のおやつの金額制限」も不便益。300円の制限は、おやつ選びのをモチベートしてくれ、選んだおやつの価値をあげてくれた。
- 不便が与える益の一つは、手間をかけ頭を使わされるという不便は、自分を変えてくれる、ということ。
- 旅行の目的地というのは目的ではなく、手段なのではないかと感じます。知らない文化に触れる、知らないところに行く、などの「体験」が目的なのです。
不便益について考えることができた。
この本を読んでいる時間は、ぼくにとって他の本を読んでいる時と違い、独特な時間に感じた。
ビジネス書としての「不便益」の本
ビジネス書として考えても、ビジネスのヒントはたくさんあった。
- ジーンズは、自分で「キレイに」汚して行く【不便】ところに価値がある。
- わからない語句は、ネットで調べるとすぐに解答がでてしまう。しかし、紙の辞書だと、調べる際に手垢がついたり、目的の単語周辺のマーカーがついたところが目に入って、学びが多かったり、辞書のひくスピードがあがるところに、自分の能力の向上を感じられたりする。【紙の不便から生じる益】
この不便なところに、「自分だけ」の価値が生まれる。
教育書としての「不便益」の本
東京都立川市にある「ふじようちえん」の話は、学びが多かった。
水道の蛇口は、自分でひねる、昔からの方式。今や、手を差し出せばセンサーによって水が流れるところが増えましたが、「ひねれば水が出る」というもののコトワリを体感させています。
引き戸は、簡単に閉まる戸ではなく、最後は少し力を入れないと閉められないように設計されている。その、最後に少し力を入れることで、しっかりと戸を開け閉めできるようになることが大切なのです。こうした体験を重ねることによって、物事をきちんとするという癖づけにつながるといいます。
上記の部分を読んだ時に、「なるほど〜」ってぼくは唸ってしまった……。
僕は、学生の若い人たちと接する機会が多い。いろんな若い人を見るたびに、「この人はどんな環境で育ってきたのかなぁ」ってよく考えるし、聞いたりもする。
そんな中で、「ふじようちえん」の話は、非常にぼくに響く内容だった。
ふじようちえんでは、不便を、子どもの体験、自らの行動と思考という成長につなげています。
ぼくには子どもがいませんが、ふじようちえんに子どもを入れたいと思った。
本自体が「不便」
本の帯がブツブツしていて手触りが常に違和感を感じさせる。
本の途中のページが色と素材も違う。
本をめくったり、開くたびに、この本にはなにか「特別感」を感じてしまう。
本の題名は、わざと長くして「不便」を感じさせ、本自体にもしかけがあり、くやしいけど全てに反応してしまい、納得してしまう。
まとめ「思い出したくなる本」
この本は、いろんな事例が細かくのっていて、理論づけて解説がしてある。
「不便益」の発想は、他にはない視点だ。
不便をある一面からみると、マイナスであったとしても、とらえかたによってはプラスを生み出すという考え方。
新しいビジネスやマーケティングを考える際に、思い出したい本だ。
本棚に背表紙が常に見えるようにしておいて、「不便は手間だが、役に立つ」という視点を忘れないようにしたい。
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